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片倉シルクって知ってる?

関西にいた頃大変美しい、一台の自転車を見ました。

そのフレームは、ラグレス加工で制作されたクロモリフレームのミニベロでした。

その当時の私は、若気のいたりもあり、

「クロモリフレームはラグ付で、メッキ加工されてないと嫌じゃ」などとほざいておりました。

その恥ずかしい固定観念を吹き飛ばしてくれた一台が片倉シルクのフレームです。

片倉シルクって?

片倉シルクのフレーム よく使い込まれた良いフレームです

片倉シルクは元々は製糸業を営む会社でした。

その会社が戦後、自転車を作り始めます。元が製糸業だったために「シルク」なのです。

初めは片倉工業の自転車ブランド「シルク」でした。

それが時代とともに、片倉工業から片倉自転車工業へと変わり最終的に片倉シルクと社名が変わってゆきます。

その特徴は初期のラグレスフレームにあります。

通常当時の自転車は「ラグ」という部品でパイプ同士をつなぎ合わせて溶接していました。

しかし、初期の片倉シルクはそのラグを廃し「ラグレス」というラグを使用しない溶接方法でフレームを製造しました。

当初はラグレスフレームをメインに据えていたというのが面白いですね。

オリンピックでも使用された!

このフレームはラグ加工のフレーム

1964年の東京オリンピックでは自転車の日本代表選手のフレームに採用されました。

当初、使用予定だったチネリのフレームが日本人選手には大きすぎた為です。

フレームの選考にはまだ日本の会社だった「フジ」と「片倉シルク」が選ばれました。

そして選考の結果、強度と軽さで勝る片倉シルクが選ばれることとなります。

ラグレス加工により軽量化とフレーム強度をあげるという大変高度な技術がつかわれていたのです。

ラグレスと二段肩

片倉シルクの代名詞といえばまずはラグレスがきますが、もうひとつ有名なものがあります。

フロントフォークのクラウンの加工です。

二段肩と呼ばれるフロントフォークは、独特の形状からそう呼ばれました。

まるでフォーククラウンが2段に重なっているように見えることからそう呼ばれています。

ピストフレーム

シートステイ部分のSILKの文字

強度と軽さに裏打ちされたそのフレームは多くの競輪選手に愛されました。

溶接の後処理も丁寧で大変美しく、繋がりがわからないような仕上がりです。

この片倉シルクの加工を知るまではラグレス加工のフレームは全然好きじゃありませんでした。

今ではお陰でラグレスのフレームも好きになりました。

現在の片倉シルクは?

片倉シルクは1946年当初片倉工業玉製作所を名乗っていました。

1955年に片倉工業から分離し片倉自転車工業となります。

そして1987年、株式会社「片倉シルク」として独立します。

しかしながら、その時代は台湾での大量生産の時代へと移り変わりつつありました。

その後惜しまれつつも閉業することとなりました。

意志は受け継がれています

工場閉鎖後、2005年にその意思を受け継いだ新井氏の手により復活を遂げます。

埼玉県の比企郡に工房を構える「絹自転車製作所」です。

いつか訪れてみたいものです。

絹自転車製作所
http://www.silkcycle.com/

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