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ブログ
9.152021
だるま自転車って知ってる?
世の中に現在の形での自転車が誕生しておよそ200年。
その現在の形になるまでの30年ほど存在していた自転車があります。
Pennyferthing(ペニーファージング)と呼ばれたその自転車は日本にも輸入されていました。
そして、日本で再現して作られたものを「だるま自転車」呼びました。
日本ではイギリスに倣い「オーディナリー」や「だるま自転車」と呼ばれ文明開花のアイコン的存在でもありました。
かの夏目漱石も英国留学のおりにペニーファージングに乗り「人は自由の翼を手に入れたのだ!!」(意訳)と大興奮したと、後に『自転車日記』でも述懐しております。
そのような初期の自転車も20世紀の初め頃に誕生した「セーフティ型自転車」の爆発的な普及に押され歴史の一部と化したのです。
目次
自転車の歴史
1817年ドイツで一つの特許が出されました。前後に同サイズの木製の車輪を持ち地面を直接蹴って進む自転車の原型「ドライジーネ」です。
その後ペダルが車輪に取り付けられたり、フレームが金属になったり徐々に進化してゆきます。
転換点となったのは、日本が明治となって数年の1870年ごろのことです。
ワイヤーを使ったホイールが発明されたのです。
加えて、ゴムの加工技術と鉄の加工技術が揃いついにペニーファージング(オーディナリー型自転車)が誕生しました。
それまでの自転車のようなものの難点は重くてそこまでの速度が出せないという点でした。
ワイヤースポークのおかげでホイールは軽量化できます。
また、鋳造技術が向上した事により鉄パイプも薄く軽く頑丈なものが製造できるようになりました。
そして、ゴムタイヤの存在がありついにホイールの大径化が可能となりました。
なぜ前輪を大きくするの?
直接前輪を回すことで進む当時の自転車にとって早い速度で走れない事を意味していました。
タイヤの全周がそのままクランク一回転での速度となりますので速度を得るためには、タイヤを大きくするしかなかったのです。
技術面での問題が解決したために速度を出せる自転車、ペニーファージングは遂に世に出ることとなったのです!
イギリスで大流行!
今までと異なり軽くて早い速度を出せるペニーファージングはイギリスの中流階級で爆発的に流行りました。
その後欧州やイギリスではサイクリングやレースが盛んに行われるようになります。ちょっと危険で楽しいスポーツだったのです。
イギリスではその後ペニーファージングを「ordinary(オーディナリー)」と呼ぶようになります。
これは後に誕生する現在の自転車の原型との比較でそう呼ばれるようになりました。
それほどまでに浸透した乗り物といえます。
その後日本にもイギリスから輸入する事となった為、日本でもペニーファージングの事をオーディナリーという呼称で呼ばれるようになりました。
国産化
日本でもペニーファージングは人気が出た為、国産化がめざされました。
職人による手作業での再現にはなりますが、遂にだるま自転車が誕生したのです。
しかし、手作業による制作はではとても工業化レベルまでは持って行けませんでした。
事故も頻発していた
そのように人気を博したオーディナリー自転車ですが、問題を抱えていました。
まず、危険である点です。
次に、大きいという点があげられます。
危険な理由ですが、乗るためにはステップに足をかけて乗ります。そのため、地面に足が届きません。
これではこけた時に大怪我につながりかねません。
さらに、ペダルとホイールが連動しているためブレーキも当初はついていませんでした。
また、速度を得るためにどんどんと前輪は大きくなり巨大化してゆきました。
道路を走る大変邪魔な存在でもあったため、馬車や労働者階級とは相入れないものでした。
遂に誕生するセーフティ型自転車
1880年代半ばごろ、その問題を解決する自転車が販売されます。
まず、前輪と後輪にそこまでサイズ差がなくなりました。
そして、後輪前につけられたクランクからチェーンで後輪へと力を伝える後輪駆動となったのです。
その見た目は今の自転車とほとんど遜色ありません。
前輪にはブレーキを有するタイプもあり、徐々に浸透してゆく事となります。
このタイプの自転車はペニーファージングと比べて安全である事から「セーフティ型自転車」と呼ばれるようになります。
そして「セーフティ型」と比較してペニーファージングは「オーディナリー型」と呼ばれるようになりました。
今までのオーディナリー型はステップを登りまたがって乗る必要があった為女性ではあまり乗れませんでした。
しかし、セーフティ型となり女性でも乗れるようになったのです。
その頃は女性用のオーディナリー三輪車のようなものに乗る人もいましたがごく少数派だったのです。
徐々にしかし確かに入れ替わっていく
オーディナリーとセーフティの世代交代は1900年代の初め頃には完了していたと言われています。
楽しくとも危険で乗る人を選んだオーディナリーより、割と誰でも乗れるセーフティ自転車は確実に広まってゆきました。
そして、現代ではセーフティ型自転車の子孫ともいうべき存在たちがたくさん走っています。
しかし、ペニーファージングがなければ今の自転車文化はなかったかもしれません。
そういう意味でも偉大な自転車であるといえます。
完全に消えたわけじゃない!
このように20世紀の頭には表舞台から消えていったオーディナリー型自転車ですが、まだ生産されています。
オーストラリアのメルボルンにはペニーファージングを生産している工房がまだあるのです。
Penny Farthing Danというお店で今も新作を制作しており購入も可能のようです。
http://www.pennyfarthingdan.com.au/shop
また、ペニーファージングのレースも同じくオーストラリアのタスマニア島で年一回行われています。
この動画は2020年にタスマニア島でおこなわれたレースです。
2016年のレースがニュースになったものです。
ちょっと怖いですが、なかなか楽しませてくれる自転車のでお勧めです!
初めて自転車に乗れた日を覚えていますか?
オーディナリー自転車は初めて自転車に乗れた日の感動と一抹の恐怖を思い出させてくれます。
また、コロナ禍の昨今群衆から頭ひとつ以上抜き出ますのソーシャルディスタンスもバッチリです。
そのようなオーディナリー自転車の事をどうかときどき思い出してあげてください。
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2021年 10月 15日トラックバック:だるま自転車の模様替え – 歯車堂
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